スタイリストが考える「AI時代における美容師の強み」とは|スタイリストアンケート「AI・VR編」(Vol.16)

弊社が保有しているモニター、スタイリスト(美容師)に対しておこなっているアンケート、今回で16回目です。
今回は、AIやVRなどの最新技術、オンライン研修などについてお聞きしました。
近年、様々な業界でAIやVRの活用が進んでいますが、美容業界ではどのような状況になっているのでしょうか。
また、カット技術や座学などの研修は、どの程度オンライン化が進んでいるのでしょうか。
【調査概要】
調査手法:インターネットリサーチ
調査対象:弊社保有モニター
スタイリスト(美容師)経験2年以上の男女(全国)
調査期間:2025年4月23日~5月7日
有効回収数:266名
調査主体:弊社(株式会社マーケティング・リサーチ・サービス)
目次
AI時代にスタイリスト(美容師)が誇れること
設問1
世の中、急速にデジタル化が進んでおります。AI(人工知能)の世界で、「スタイリスト(人間)がこれだけはと誇れる」というものはありますか?どのようなことでも構いませんので教えてください。(自由回答)

AI時代に、美容師である自分自身が「これだけは誇れる」ということを自由記入形式で回答してもらいました。
回答として最も多かったのは「寄り添う感覚/細かな要望・雰囲気・変化に気づき応える」という内容でした。次に「会話/コミュニケーション」、3番目に「カット技術/技術力/再現性」という回答が多くなっていました。
また、2020年に同様の調査を実施した際の回答と比較したところ、今回は「寄り添う感覚」、「コミュニケーション」、「カット技術」が高くなっており、「細部の調整」と「タッチの柔らかさ」が下がっていました。
最近1年以内に受けた研修
設問2
ここからは、サロンでの研修についてお伺いします。あなたは最近1年以内に、以下の研修を受けたことがありますか。当てはまるものを全て教えてください。※自社サロンの研修に限らず外部なども含めてお答えください。(複数回答)

最近1年以内に受けたスタイリスト業務に関する研修を質問したところ、「新商品に関する研修」が最も高く、「技能研修(カット)」と「技能研修(トリートメント)」が次に高くなっていました。
各研修の実施場所
設問3
前問でお答えになった研修について、どちらで受講されましたか、当てはまるものを全て教えてください。(各複数回答)

最近1年以内に受けた研修ごとに、研修の実施場所を質問しました。
全体的に、メーカーや美容ディーラー、自社などでオフラインの対面形式で研修を受けた割合が高くなっていました。
VRを使った研修の利用意向
設問4
VR(Virtual Reality/仮想現実)を技術研修に取り入れるとしたらどの程度利用したいと思いますか。以下の中からどれか一つお教えください。(単一回答)

VRを活用した技術研修について利用意向を質問したところ、「利用したい」と回答した割合は26%でした。
利用してみたい理由(回答一部抜粋)
- その場に行かなくても、よりリアルを感じ楽しみながら講習を受ける事が出来そうなので。
- 施術前にビジュアルを表現できる。
- 実際に現場で見るのと同じように体感できそう。
- オンラインよりもリアルに自分が見たいアングルで見て技術を習得できそうだから。
- カウンセリングの対人練習など、人がいなくても色々なパターンを練習できること。技術も仮想練習できたら、モデルもいらなくなること。
利用したくない理由(回答一部抜粋)
- 研修内容にもよるが、髪の毛を使った技術などは、質感とかはVRではわからないから。
- 実際に触れて気づくことの方が多いから。
- VRでカット、カラー、パーマ、シャンプーをしても出来る気になるだけで、実際に自分の手で練習した方が早いから。
- 最新技術も素晴らしいですが、人と人とのコミュニケーションがあっての接客業だと思うので、温かみが感じられるのかわからない。
- 触覚が大事な技術に対して無理がある。
まとめ
今回は、美容院の現場においてAIやVRなどの最新技術がどのように受け止められているかについて調査しました。
AIの普及が急速に進む中で、人間ならではの強みは「顧客に寄り添うこと」や「コミュニケーション」の部分だと考える人が多く、4年前の調査と比較してさらにその傾向が強くなっていました。特に近年は、会話型AIが普及しているにも関わらず「会話/コミュニケーション」が美容師の誇れるものとして上位に来ていることから、美容師の業務において顧客とのやりとりが美容師にとって大きな強みになっていることが伺えました。
スタイリストの研修については、技術研修も知識研修もオフラインでの実施が主流となっているようですが、一部オンラインでの実施も見られました。
VRを活用した技術研修については、「モデル無しで様々な髪型をシミュレーションできる」、「現場に行かなくてもリアルな研修が受けられる」といった人や場所の制約がなくなる点をポジティブに捉えている人がいました。また「オンラインよりも実際のように感じやすそう」といったオンライン研修より現実に近そうだという意見が散見されました。一方で、「触感が得られないVRでは、カット技術の習得は難しい」といったネガティブな意見も多く挙がっていました。
当社は、スタイリスト(美容師)のパネルを抱えており、現場の実態や流行などさまざまなテーマを調査することが可能です。スタイリスト(美容師)に対して調査を実施したい場合は、ぜひ当社までご相談ください。
参考記事:美容室でのSNS利用状況は4年前と比べてどう変化した?|スタイリストアンケート「美容室のDX・IT活用編」(Vol.15)
(digmar編集部)