目的別の施策

自社内の既存データの分析

AI活用の燃料となるのは良質なデータやその分析

販売システムやチャネルのオンライン化などで、自社の販売データや顧客情報など、莫大な規模の情報量の多いデータがいとも簡単に取得できるようになりました。これは、マーケティングにとっては非常に大きな変化ですが、存在するデータが、次の商品の開発や販売戦略に全く使われず、宝のもち腐れとなっている企業の数は、それを有効活用している企業の数よりはるかに多いと想像されます。データをハンドリングできる人材の確保が難しい企業は、市場や顧客の変化の把握に遅れ戦略が後手に回ってしまうため、先鋭的な商品やサービスが作れないばかりか、先行利益もとり損ねます。マーケティング学者のコトラーによると、マーケティング5.0はAIの活用が花開く時代。企業が保有する情報はまさにそのAIの燃料ともなるものです。データを整理し分析する姿勢がない企業でも、否応なしにお尻に火をつけられる、そんな時代がすぐそこまで来ているのではないでしょうか。
弊社にも「こんなデータがあるのですが、実は全く使えていません。どのように整理して使ったらよいでしょうか」といったご相談の件数が増えてきました。まずは、ご利用になりたい目的をお聞きし、その課題に応じて、採用するデータの項目や解析方法などをご提案させていただいています。

データ分析の考え方

まずは、使えるデータであることの確認が不可欠です。いい加減に入力されたものであったり、欠損値が多かったり、項目が抜け落ちていたりすると、使い物にならない可能性もあります。
既存のデータを分析する場合は、そのデータを使って何をしたいか、または、何ができるか、を考えるところがスタートラインとなります。情報から何かを予測したいのか、情報をコンパクトにまとめたいのか、情報をパッと見てわかるように可視化したいのか、そのうえで、何に使いたいのか、といった事前の議論が重要となります。
データがそもそもその目的に適うものなのか、といった判断も必要です。データは宝ですが「正解」をピンポイントで生み出してくれるものではありませんので、「仮説」や「方針」が欠かせません。データがこの「仮説」や「方針」の判断に使えるものでなければ分析する意味がありません。

分析の方向性

●データ分布の把握
データがどのような数値で構成されていて、どのような分布の傾向を持っているのか、を明らかにします。平均、中央値、最頻値など基本統計量でデータ全体を概観します。

●時系列のデータによる変化の確認
同じ形式のデータを毎年取得されている場合などは、単年度の状況を把握するだけでなく、変化を確認されることをお勧めします。

●ロイヤルティの高い顧客の選別
顧客の購買データがあれば、自社が特に大切にすべきお客さんがだれなのか、手をかけるべきお客様がどんな人なのか、簡単に把握し、管理できます。

●関係が見られる要素の抽出
たとえば、売り上げと関係が見られる要素が何かを把握する、または、一緒に買っている商品の組み合わせを見る、などデータの項目間の関係を見ることができます。

●必要な数値の予測
他の数値を参考に、まだ明らかになっていない数値を予測することも有用です。

●潜在因子の導出
購買行動を規定する因子はどんなことなのか、といった探索は、商品・サービスの開発に役立ちます。

データ解析の留意点

データの取得時期、データの取得目的、データの形式を確認して、データのクリーニングなど前処理を行います。
そのうえで、採用する変数や分析手法、アウトプットの方法を決定します。

弊社で取り組んできた課題(例)

お預かりするデータの内容も形式もさまざまなので、お客様からデータをお預かりする前に、データの状況を確認させていただきます。そのうえで、データ活用の方向性を決定して、分析に取り掛かります。

  • POSデータから自社の顧客の特徴を明らかにし、新店舗開発時のコンセプトの方向性を抽出する
  • 時系列で取得している購買データから、今後エネルギーをかけるべき販売エリアを特定する
  • 顧客情報と紐づいた購買データで、クラスター分析を行い、各クラスターのニーズに基づいた販売戦略を考える
  • コールセンターの発話記録から、顧客が気にしていることを分析し視覚化する
  • 時系列の販売データから、来期の売り上げを予測する


など