目的別の施策

[商品評価(サービス評価)] 商品・サービスの評価に関する調査

商品やサービスの評価が重要視される理由

「商品やサービスの開発に携わっているけど、購入者がどのように自分の商品を使っているのか全く知らないのです」というお話をよく聞きます。「興味を持ったか」「買いたいか」というリサーチは頻繁になされるものの、「買った人がどのように使って、どんな評価を下すのか、その結果、自社の商品やサービスが競合との間でどういう位置に置かれるのか」は多くの企業で相変わらずブラック・ボックスに置かれたままになっています。
また、消費者の手に渡ってからの使用方法も、企業が「こう使うはず」と想定したものとは全く違っていて「実家に帰省したら自分の関わった商品が思いもかけないような使われ方をしていて驚いた」などと、商品開発のご担当から聞くことがあります。ターゲットの生活環境は様々であり、商品やサービスの利用のされ方は千差万別で、企業の思うようにはコントロールできていないことがわかります。
「売れているからまあいいか」と思って、消費者の使用実態を知らないまま放っておいたら、知らない間に、使い勝手のいい競合商品にとってかわられていた、ということが簡単に起こるのは、これが原因だと思います。
弊社では、商品やサービスの特徴や、これまでのリサーチ経験に照らし合わせて、必要な商品評価の仕方をご提案しています。

「評価」に関する考え方

「不満や改善点を聞く」というリサーチで新製品や新サービスが開発できたのは、カテゴリーが未成熟であった時で、成熟した市場で勝負をしている商材にこのようなアプローチをすることには限界があります。満足度調査で「特に不満はない」と言われているのに売れ行きが思わしくなくて、「新しい付加価値をつけて活性化しなければならない」といった課題を突き付けられることはよくあることです。しかし、商品カテゴリーが飽和した市場では、微細な不満点のマイナーチェンジを繰り返しても売り上げが向上しません。コンセプト評価では高得点を得た商品やサービスなのに、実際に上市してみると「今までのもので充分」と言われてしまうからです。
商品やサービスの担当者は、その評価を満足度に依存してしまいますが、そうではなく、個別要素の評価指標をどう作るか、勝負どころがわかる質問で構成されているかにエネルギーを注ぐ必要があります。
利益率との相関が高いのは「推奨度」から算出したスコアである、といった研究もありますが、まずは、勝負を分けるところを真剣に考えることが重要だと考えます。

必要な情報

●評価者の情報
評価結果の妥当性を考えるためにも、誰が評価をしたのか、どういう状況で評価をしたか、ということをあやふやにしないことが重要です。また、評価する人の選択が的確かどうかは、リサーチの前提として重要です。

●商品やサービスの構成要素ごとの評価
次の手を考えるためには、全体的な評価だけでなく、商品やサービスを構成要素に分解して評価をとっておかなければなりません。採用意向や継続購買意向が高い人が、どこを評価しているのか、どこに手を入れるべきなのか、そしてその要素は評価者にとってそもそも重要なのか、といったことがデータで示される必要があります。

リサーチに関する留意点

まずは、評価に関わるバイアスを、できるだけ排除しておこうとします。商品を試す順序や、評価をする場所の影響など、結果をより正しく分析するために、邪魔なものの排除に努めます。
評価項目が的確かどうかの吟味も重要です。商品使用者からの「商品の評価のされどころ」がわかっていないと、真の評価はとれません。もし、どこで評価が分かれているのか、どこが勝負のしどころなのか、わからない場合は、商品評価に関する量的な検証を行う前に、定性調査(質的調査)で評価に使うべき概念を抽出して言語化しておくことが不可欠です。この時、ダイレクトに評価を聞くだけでは、評価指標にふさわしい表現は得られません。「別の商品と比べる」「説明を変える」「使い方を指定する」「メーカーの指示とは異なる使いかたをしていないか尋ねる」「他人の話をする」「何か(マテリアル)を見せる」といった刺激を行ってその商品の評価にふさわしい評価指標を構成すべきです。

弊社で取り組んできた課題(例)

  • 商品試用を伴う会場調査(味覚、香りの官能、パッケージ・デザイン、商品の使い勝手など)で受容性を確認
  • 自宅での試用評価(自由に使用/指定したタスクを実施してもらって評価など)で受容性を確認
  • 提供現場で評価を実施(提供現場に行って消費する、提供されたサービスを評価する、提供方法を評価するなど)

弊社では、実際のターゲットに評価をしてもらう「手段」と「質問のしかた」に関する豊富なノウハウでリサーチをご提案しております。商品の試用に際しては、調査員が各家庭に訪問し説明を行うようなケース、書面の説明だけで試用をするケースなど、様々なパターンがあり、「商品の特性」や「ローンチまでのどの段階にあるか」で的確な方法をとります。

例)商品・サービスの評価リサーチの手段

  1. 会場で商品・サービスを試用してもらい、ユーザービリティと評価を確認する(会場テスト)
  2. 一般家庭などで商品・サービスを利用してもらう(ホーム・ユース・テスト)
    (調査員が一般消費者の家庭に訪問して商品の説明を行うもの/郵送するものがあります)
  3. サービス提供場面で課題を確認する(ミステリー・ショッパー)
    (店内外の見た目、サービス提供者の言動、作業導線、それらに伴う顧客の行動等を観察します)
  4. 使用・利用現場に行って「見る」「尋ねる」(ホーム(オフィス)・ビジット)
    (実際はどこにどのように置き、どのように使用しているか、不自然な動き等も観察します)