店頭で商品が選ばれない原因とは?パッケージ開発に役立つシェルフテストとアイトラッキングの活用法を解説

店頭で商品が選ばれない原因とは

「選択率が低いことは分かった。でも、パッケージのどこを直せばよいのか分からない」。新商品やリニューアルの評価で、色を変えるべきか、コピーを見直すべきか、判断に迷うことはありませんか。

模擬棚を使ったシェルフテストは、競合と並んだときの選択率や評価を把握する手法です。その結果を具体的な修正指示や社内での検討に活かすには、選ばれなかった背景を整理することが大切です。

この記事では、シェルフテストやパッケージ調査を実施している、または検討しているメーカーのご担当者に向けて、次の2点を解説します。

  • パッケージが選ばれない原因を「3つ」に切り分けて考える方法
  • シェルフテストの結果に、視線データと振り返りインタビューを組み合わせて、棚前の判断プロセスを補う方法

シェルフテスト(模擬棚調査)とは?パッケージ調査で分かる3つのこと

シェルフテスト(模擬棚調査)とは、競合商品と一緒に商品を棚に並べ、消費者の選択や評価を調べるパッケージ調査の手法です。シェルフテストには以下のような特徴があります。

売場に近い環境で、競合と並べて評価できる

パッケージを単品で見せる調査とは違い、シェルフテストでは競合商品と一緒に棚に並べます。消費者は、実際の売場に近い状況で商品を選びます。そのため、「単品で見ると魅力的だが、棚に並ぶと埋もれる」といった、棚ならではの評価が得られます。

選択率や評価を定量で比べられる

一定の人数に同じ条件で商品を選んでもらうため、選択率や評価を数字で比べられます。複数のデザイン案から1案に絞るときや、発売するかどうかを判断するときに、社内で共有しやすい根拠になります。

選んだ理由・選ばなかった理由から、改善の方向性が見える

選択後のアンケートでは、選んだ理由や選ばなかった理由、パッケージの印象をたずねます。こうした回答から、「高級感が伝わっていない」「味のイメージがわきにくい」など、改善の方向性が見えてきます。

このように、シェルフテストは「棚で何が起きたか」を定量で把握し、パッケージの判断を支える手法です。

店頭で選ばれない商品パッケージの3つの原因

シェルフテストで選択率が伸びなかったときは、「見つける・理解する・選ぶ」の3つの観点で、改善に向けた仮説を整理できます。これは原因を網羅的に分類するものではなく、見直すポイントを考えるための枠組みです。棚の位置やブランドへの慣れなど、複数の要因が関わる場合もあります。

① 見つけてもらえない(視認性・棚での存在感)

商品が見つけられず、比較の候補に入っていない可能性があるケースです。色や形が周りの商品に埋もれていたり、ロゴやブランド名が認識しにくかったりすることが、検討すべき要因になります。

② 見られても伝わらない(情報の優先順位・読まれ方)

商品は目に入っているものの、伝えたい情報が届いていないケースです。たとえば、商品写真には目が留まっても、特徴を伝えるコピーまでは読まれていない、といった状態です。

③ 伝わっても選ばれない(競合との比較・価格・好み)

商品の特徴は伝わっているものの、競合と比べた結果、選ばれなかったケースです。価格や容量、普段使っている商品との違いなど、比較の基準で負けている可能性があります。

パッケージが選ばれない原因別の改善策(打ち手)

同じ「選ばれなかった」という結果でも、原因によって見直すべきポイントは異なります。

原因主な見直しポイント
① 見つけてもらえないパッケージの色・形・ロゴの大きさ、棚での存在感
② 見られても伝わらない情報の優先順位、コピーの位置や大きさ、情報量
③ 伝わっても選ばれない競合との差別化ポイント、価格・容量、ベネフィットの打ち出し方

たとえば、棚で見つけにくいことが課題なら、コピーの追加だけでは改善につながらない可能性があります。どの段階に課題がありそうかを整理すると、デザイン会社への修正依頼や社内での議論を具体化しやすくなります。

関連サービス:改善箇所を検討するために、視線と発言をどう組み合わせるのか。「視線深掘りシェルフテスト」の概要を見る

こうした手がかりは、シェルフテストの設問の設計を工夫することでも、ある程度つかめます。ただし、すべてを言葉で確かめるのは難しい場面もあります。次の章で、その理由を見ていきます。

通常のアンケートでは言語化されにくい「棚前での消費者心理」

シェルフテストのアンケートで、選んだ理由・選ばなかった理由はしっかり把握できます。それでも、棚前での判断には、言葉になりにくい部分が残ります。これは調査手法の問題ではなく、人の記憶や言語化の性質によるものです。

棚前の細かな行動は、本人も覚えていないことがある

棚の前では、消費者は短い時間で多くの商品を目で追いながら判断しています。どの順番で棚を見たか、どの商品で一瞬手が止まりかけたかといった細かな行動は、本人も覚えていないことが少なくありません。

「なんとなく」の裏にある判断は、聞くだけでは出てきにくい

「なんとなく選ばなかった」という回答の裏には、実は「色が地味に見えた」「何の商品か分かりにくかった」といった具体的な判断が隠れていることがあります。しかし、選んだ後に思い出して答える形では、こうした判断がうまく言葉にならない場合があります。

「見ていなかった」のか「見たけれど忘れた」のかは、本人にも区別が難しい

前の章で紹介した「① 見つけてもらえない」と「② 見られても伝わらない」は、打ち手が大きく異なります。ところが、「その商品は覚えていない」という回答だけでは、本当に目に入っていなかったのか、目には入ったが印象に残らなかったのかを、本人にも区別しにくいのです。

この「言葉になりにくい部分」を補う方法として有効なのが、アイトラッキングによる視線データの活用です。

アイトラッキング(視線計測)×インタビューで消費者の判断プロセスを可視化

棚前の言葉になりにくい判断は、視線データを手がかりにすることで補えます。ポイントは、視線を測るだけでなく、その映像を本人と一緒に振り返って話を聞くことです。

アイトラッカーとは

アイトラッカーは、対象者の視線の位置や動きを計測する装置です。本サービスでは、カメラやセンサーを備えたメガネ型の機器を使用します。模擬棚で商品を選ぶ際の視線を記録し、どこから見始め、どの商品に視線が向いたかを動画で振り返ります。ただし、視線が止まったことだけで、商品への好意や情報の理解まで判断することはできません。

視線動画を本人と見ながら聞く、3つのステップ

  1. 商品選択:会場で対象者にアイトラッカーを装着してもらい、模擬棚の前で買いたい商品を選んでもらいます。
  2. アンケート回答:選択後はアイトラッカーを外し、通常どおりアンケートに回答してもらいます。
  3. 振り返りインタビュー:アンケートの後、別のエリアで、録画された視線動画を対象者と一緒に見ながら、約10分間のインタビューを行います。

視線データだけでも、インタビューだけでもなく「組み合わせる」理由

視線データだけでは、「どこを見たか」は分かっても「なぜ見たのか」「見てどう感じたのか」までは分かりません。一方で、インタビューだけでは、前の章で触れたように、本人が覚えていない行動は出てきにくくなります。

視線動画は、本人の実際の行動の記録です。それを見ながら話を聞くことで、たとえば次のような具体的な質問ができます。

  • 「この場面では、何を探していましたか?」
  • 「この商品で目が留まりましたが、何か気になりましたか?」
  • 「この2つの商品を見ていたとき、それぞれについてどう感じましたか?」
  • 「商品を選ぶとき、候補にしていたものはありますか?」

行動の記録を手がかりにすることで、言葉だけでは思い出しにくい判断を振り返りやすくなります。ただし、振り返りの説明にも記憶や事後的な解釈が含まれるため、視線データ、発言、アンケート結果を照らし合わせて読み解きます。

【具体例】アイトラッキング調査から見えたパッケージの課題と改善ヒント

ケース1:パッケージの色に目が留まり、シリーズ全体へ視線が広がった

視線深掘り事例①

ある対象者は、まず金色のパッケージに目が留まり、そこから同じシリーズの隣の商品へと視線を移していました。インタビューでは、「金色だから目立つ、明るい感じがする」と、最初に目が留まった理由を語りました。さらに、シリーズ商品を見比べながら、味の違いをどう受け取ったかも具体的に話してくれました。1つの商品のデザインが、シリーズ全体を見てもらう入口になっていることが分かったケースです。

改善への示唆:シリーズ共通の色やデザインが、商品群に気づいてもらう入口として機能する可能性があります。個別商品の目立ち方だけでなく、シリーズ内の違いの伝わり方も、見直しの観点になります。

ケース2:見慣れないパッケージで、文字をじっくり読んでいた

視線深掘り事例②

別の対象者は、並んだ3つの商品のうち、1つの商品を長く見たあと、ほかの商品へと視線を広げていました。インタビューでは、「よくある感じの商品はすぐ分かったが、ほかの2つは見たことがないパッケージだったので、何が入っているのか文字をよく読んでいた」と話しました。見慣れないデザインが、中身を確かめる行動につながっていたことが分かったケースです。

改善への示唆:長い注視は、好意の強さを示すとは限りません。このケースでは、中身を確かめるために文字を読んだという発言がありました。商品カテゴリーや中身が伝わりやすい表示になっているかを検討する手がかりになります。

関連サービス

選択率だけでは見えにくい背景を、次のパッケージ改善につなげたい方へ。「視線深掘りシェルフテスト」の導入検討に、サービス資料をご活用ください。

パッケージ調査における定量データと定性データの役割分担

視線データと振り返りインタビューは、シェルフテストに置き換わるものではありません。シェルフテストの定量結果を土台にし、その結果の背景を定性で補う、という組み合わせで力を発揮します。

シェルフテストは「何が・どれくらい」、視線深掘りは「どのように・なぜ」

 シェルフテスト(定量)視線データ×振り返りインタビュー(定性)
分かること何が、どれくらい選ばれたか棚前でどのように見て、なぜそう判断したか
主なデータ選択率、評価、選択・非選択の理由視線の動き(視線が向いた所・注視が確認できなかった所)、振り返り時の説明
主な役割案の比較、発売判断の根拠結果の背景の理解、改善仮説の整理
対象者一定の人数一部の対象者

読み解き方の例

たとえば、新しいデザイン案の選択率が伸びず、視線計測を行った対象者の中で、その商品への注視があまり確認できなかったとします。この場合は、「① 見つけてもらえない」可能性を検討し、色や形、ロゴ、陳列位置など、棚での見え方を見直す仮説が立てられます。ただし、注視が確認できないことだけで、商品を認識していないとは断定できません。

反対に、商品に視線が向いていたのに選ばれなかった場合は、情報が伝わらなかった可能性や、競合との比較で選ばれなかった可能性を検討します。振り返りインタビューで、商品の特徴をどう受け取り、何を判断の基準にしたかを聞き、改善の仮説を絞り込みます。

一部の対象者に追加で実施する理由

振り返りインタビューは、1人ずつ行う定性調査です。量的な比較はシェルフテストで行い、視線と発言による深掘りは一部の対象者に絞ります。少人数の発言や視線の傾向を、消費者全体の割合として扱うことはできません。既存の調査設計を活かして組み込める場合もありますが、対象者の選定や機器の装着、インタビュー時間を含めた実施条件の調整が必要です。

アイトラッキングを活用したシェルフテストが役立つシーン

視線データと振り返りインタビューの組み合わせは、特に次のような場面で役立ちます。

  • 新商品パッケージの発売前評価:初めて手に取ってもらう場面(トライアル時)で、棚の中で見つけてもらえるか、特徴が伝わるかを確かめたいとき
  • 既存商品のパッケージリニューアル:新旧のパッケージで、視線が向く場所や情報の受け取られ方がどう変わるかを確かめたいとき
  • 競合が多く、棚で埋もれやすいカテゴリー:競合と並んだときの存在感や、比較されるポイントを知りたいとき
  • コピーや商品特徴の伝わり方の確認:伝えたい情報に視線が向いているか、その内容がどう受け取られているかを確かめたいとき
  • 価格表示や販促物を含めた売場の検討:棚割りや陳列位置、POPなどが視線にどう影響するかを見たいとき

MRSが提供するパッケージ調査「視線深掘りシェルフテスト」

「視線深掘りシェルフテスト」は、株式会社マーケティング・リサーチ・サービス(MRS)が提供するパッケージ調査サービスです。模擬棚でのシェルフテストに視線計測と振り返りインタビューを組み合わせ、選択率や評価の背景を探り、パッケージ改善の検討を支援します。

サービスの概要

前述の3つのステップで得た視線動画と発言をシェルフテストの定量結果と照らし合わせます。「何に気づいたか」「特徴をどう受け取ったか」「何を基準に選んだか」を整理し、デザインの見直しに向けた仮説を検討します。

実施の条件

項目内容
対象者数1会場日あたり10名程度を想定(シェルフテストの対象者のうち一部に実施)
対象者の選定スクリーニングの回答から事前に選定(本サービスで使用する機器の条件により、眼鏡を着用している方は対象外)
モニタリングインタビューの様子はオンラインで視聴可能

MRSの強み

会場調査(CLT)の実績

MRSは、多い年には年間200件以上の会場調査を実施しています。食品、日用品、化粧品、飲料など、さまざまな業界の調査に対応してきました。調査目的に合わせた設計から実査、分析、報告までを一貫して支援します。

シェルフテストに必要な設備がそろった自社会場

JR大塚駅から徒歩2分の場所に、約200㎡・最大100名を収容できる自社会場「MRS The Room」を構えています。商品陳列用の棚やリーチインクーラー、パーテーションなど、シェルフテストに必要な設備をそろえています。

競合と並べたときの見え方を評価するために、棚や冷蔵設備などを用いて、調査目的に合わせた売場環境を検討できます。

全国での実施に対応

東京・大塚の自社会場だけでなく、関東・関西をはじめとする主要都市や地方での調査にも対応しています。

よくある質問

通常実施しているシェルフテストに追加できますか?

既存の調査設計を活かして組み込めるか、実施条件を確認したうえでご案内します。対象者の選定、機器の装着、振り返りインタビューの時間や動線などの調整が必要となります。

眼鏡をかけている人も対象になりますか?

本サービスで使用する機器の条件により、眼鏡を着用している方は対象外となります。対象者は、スクリーニングの回答をもとに事前に選定します。

インタビューの様子を見ることはできますか?

はい。インタビューの様子はオンラインで視聴いただけます。

1日に何名くらい実施できますか?

視線計測とインタビューは、1会場日あたり10名程度を想定しています。

視線が長く止まった商品は、好意的に評価されたと言えますか?

視線だけでは判断できません。関心を持った場合だけでなく、情報が分かりにくく確認に時間がかかった場合も考えられます。発言やアンケート結果とあわせて解釈します。

費用や納期はどのくらいですか?

調査の内容や規模によって異なります。詳しくはお気軽にお問い合わせください。

まとめ:シェルフテストとアイトラッキングで効果的なパッケージ改善を

パッケージが棚で選ばれなかったときは、「① 見つけてもらえない」「② 見られても伝わらない」「③ 伝わっても選ばれない」の3つの観点で仮説を整理すると、見直すポイントを考えやすくなります。

シェルフテストの定量的な結果に視線データと振り返りインタビューを組み合わせることで、選択や評価の背景を探れます。視線だけで理解や好意を断定せず、発言やアンケート結果と照らし合わせることが、改善への活用に欠かせません。

「選択率は分かったが、修正する箇所を絞れない」「パッケージ案の改善方針を社内やデザイン会社と具体的に議論したい」。そのような課題をお持ちの方は、「視線深掘りシェルフテスト」のサービス資料をご活用ください。

(digmar編集部)