会場調査(CLT)とは?手法やメリット、費用相場から成功のポイントまで解説

会場調査(CLT)は、市場調査(マーケティングリサーチ)において、対象者のリアルな反応を正確に測るための重要な手法です。Webアンケートが主流となる中でも、「実際に試食してもらう」「実物を操作してもらう」といった体験を伴う調査では欠かせないアプローチとなっています。
本記事では、会場調査の手法や目的、3つのメリットに加えて、具体的な実施手順や費用の相場、そして調査を成功させるためのポイントまで詳しく解説します。
会場調査(CLT)とは?手法と主な活用目的
会場調査(CLT)の手法と特徴
会場調査とは、調査対象者(モニター)を特定の会場に集め、調査専門スタッフの管理のもとで対象となる商品やサービスについてアンケートやインタビューを行う調査のことです。英語の「Central Location Test(セントラル・ロケーション・テスト)」の頭文字をとって、「CLT」や「会場テスト」と呼ばれることもあります。
調査対象者全員のテスト環境や条件を統一しやすく、調査専門スタッフが進行管理を行うため、高い精度で調査を実施できるのが特徴です。
会場調査が活用される目的・調査テーマ
Webアンケートでは代替できない「五感」を使った評価や、実環境に近いシチュエーションでのテストに用いられます。会場調査は、主に以下のような目的で活用されます。
- 試飲・試食テスト
- 商品のパッケージ評価
- 商品陳列評価テスト(シェルフテスト)
- 競合商品との比較評価測定
- 広告評価(TVCMなど)
実際の店舗さながらの商品棚が用意された専用会場を利用し、消費者の購買シーンと同じような状況でテストを実施することも可能です。
会場調査の3つのメリット
対象者の自宅で調査を行う「ホームユーステスト(HUT)」等と比較した際、会場調査には大きく3つのメリットがあります。
1. 調査条件を管理でき「正確性」が高い
会場調査では、調査専門スタッフが調査方法や商品・サービスの管理を行います。
試飲・試食テストのように、商品の温度や調理具合といった条件が評価に影響を与えやすい調査の場合、徹底した管理下で正確な調査を実施できることは大きなメリットです。(ホームユーステストの場合、進行は対象者に一任されるため厳格な条件管理は困難です。)
また、回答内容が抽象的で掘り下げたい場合や勘違いがあった場合でも、スタッフがその場でヒアリング・確認できるため、高い精度を保つことができます。
2. 実際の体験を通じた「リアルな反応」が得られる
実際に商品を見たり、触ったりする実地調査ができるのが強みです。
さらに観察法を利用することもでき、商品陳列棚を用意して「最初にどこに目線が行ったか」をアイトラッキング(視線計測)で調べたり、どのパッケージが目立つかを調べたりすることも可能です。近年では、VR(仮想現実)を利用するケースや、ニューロリサーチ(脳波・感情のリアルタイム測定)などの最新技術を組み合わせて、無意識の反応を数値化するケースも増えています。
3. 情報漏洩を防ぐ「高い機密性」
会場調査は、テスト会場という調査専門スタッフの管理が行き届いた空間で調査が行われます。このため、機密性が高い点が特長です。そこで、市場投下前の商品や試作品、あるいは発表前のTVCM評価など秘匿性が高い内容でも頻繁に実施されます。
会場調査のデメリット・注意点と他の調査手法との比較表
会場調査には多くのメリットがある一方で、知っておくべきデメリットもあります。目的に合った調査手法を選択することが重要です。
場調査のデメリットと対策
- コストと手間の負担: 会場手配、機材準備、スタッフの人件費などがかかるため、通常のWebアンケートよりもコストと準備期間を要します。
- サンプル属性の地理的制約: 特定の会場(主に都市部)に足を運べる人に限定されるため、全国的な居住者のデータを取りたい場合には不向きです。
他の調査手法(HUT・FGI・Webアンケート)との比較マトリクス
| 調査手法 | 主な目的 | メリット | デメリット・注意点 | コスト感 |
|---|---|---|---|---|
| 会場調査(CLT) | 味覚・パッケージ・実機評価 | 厳格な条件管理、機密保持 | 会場手配・準備期間が必要 | 中〜高 |
| ホームユーステスト(HUT) | 生活環境での長期間利用 | 実際の使用シーンでの評価 | 離脱リスク、条件のバラつき | 中 |
| グループインタビュー(FGI) | 深層心理・アイデア創出 | 定性的な意見・対話の深掘り | 定量的な数値化には不向き | 中 |
| Webアンケート | 大規模な数値把握 | 迅速・低コスト | 試飲試食や実物体験不可 | 低 |
会場調査を実施する4つの手順(準備〜分析)
会場調査は、実査(調査を実施すること)だけでなく、事前の準備が成功の鍵を握ります。
STEP 1: 対象者のリクルート(事前リクルート主流)
調査対象者のリクルート(選定)を行います。
従来は、あらかじめ対象条件に合致した人を選定する「プレリクルート(事前リクルート)」と、調査会場周辺で通行人に声をかける「ストリートキャッチ」の2つの方法がありました。
プレリクルートはきめ細かな条件を設定する場合に有効です。一方、ストリートキャッチは手間が省けますが、実施地域によって属性の出現率が異なる地域特性に注意が必要です。
※現在では、コンプライアンスやプライバシー保護の観点からストリートキャッチは減少し、Webパネルを活用した精度の高い「プレリクルート」が主流となっています。
STEP 2: 調査会場・必要な物品の確保
調査会場は事前に確保しなければなりません。会場を予約して状況を随時確認しながら日程を調整することが必要です。調査会場を選ぶ際は、仮押さえが可能なところを選ぶことをおすすめします。また、大型の棚が入るかどうか、飲食は可能かどうかなど、会場の大きさや条件も調べておくことが重要です。
調査対象者に対する謝礼も用意が必要です。拘束時間や難易度によって謝礼も異なりますので、事前に調査会社と相談し相場を確かめて、内容を決めるのがよいでしょう。
STEP 3: 調査票(アンケート)の設計と機器の準備
次に、調査項目の整理を行います。まず必要なのは、調査目的に沿った内容で質問票を作成する作業です。併せて、自記式と他記式のどちらで調査するのかも想定し、時間配分まで考慮して実査の流れを検討します。さらに、調査票のレイアウトを調整します。iPadなどの端末を使う場合は、画面設計の後に動作チェックまで行い、問題がないか確認が必要です。特に調査票の設計は、意図したとおりの回答が得られるかは、設問順や聞き方などが重要となりますので、専門家の意見を参考することをおすすめします。
STEP 4: 実査の実施と集計・分析
実査の後、調査結果を集計しレポーティングを行います。集計を考慮すると、iPadなどの端末を利用して実査を行えば後から入力する作業を省くことができるので便利です。
会場調査(CLT)の費用相場・コストの内訳
会場調査を外注する際、費用は「リクルート費」「会場費」「機材・サンプル準備費」「スタッフ人件費(ディレクター・案内係)」「対象者への謝礼」「集計・分析費」などで構成されます。
例えば、50〜100名規模の会場調査を実施する場合、条件によって数十万円〜百数十万円程度の概算費用がかかるのが一般的です。
会場調査の費用相場については、こちらの記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
【関連記事】 会場調査(CLT)の費用相場と内訳は?見積もり比較で失敗しないポイントを徹底解説
会場調査で高い成果を得るためのポイント
会場調査の特性を活かし、高い成果を得るためのポイントを3つ解説します。
調査テーマに合う環境をセットする
会場調査では、調査テーマに合う環境をセットすることが重要です。例えば、陳列棚の中での見え方を評価するテストなら、商品棚が用意されている調査会場を選んだり、会場の照明・温度・音響などを調節し、調査テーマに最適な環境に整えたりすることで、より実態に近い調査結果が得られます。
他の手法と組み合わせる
会場調査は、記入式アンケートで実施することが多いです。これは定量調査になりますが、内容をさらに掘り下げて質的な要因を分析したいという場合は、定性調査も併せて実施することが可能です。
例えば、メインの会場とは別にインタビュールームを用意し、デプスインタビューやグループインタビューといった定性調査を併用します。会場調査では「朝起きたばかりで飲む飲料Aの味」、「日用品Bを長期間継続した場合の感想」など、実際の利用シーンや心理面なども把握することができます。
専門性の高い調査会社を活用する
調査手法が豊富で、調査実務に長けている調査専門会社を活用することも大切なポイントです。会場調査の一例として、業界でカークリニック、自動車クリニックなどと呼ばれている調査があります。これはホールのような大きな会場を借りて、実際に車(あるいはモック)を展示してアンケートを実施する調査です。大掛かりなだけでなく、発売前(開発段階)に実施されるケースが多く、秘匿性の高い特殊な調査です。特にこのような場合は、実査に長けている調査会社の選定が不可欠となります。
*弊社の事例はこちら
【関連記事】CLT(会場調査)の調査会社の選び方|確認すべき会場の5つの条件
まとめ
会場調査(CLT)は、試飲・試食やパッケージ評価など、五感を伴う多様な目的で活用できる調査手法です。統一された条件と専門スタッフの管理のもとで行われるため正確な調査ができ、機密性を保持したい場合にも適しています。
適切な設備を用意し、必要に応じてインタビューなどの定性調査と組み合わせることで、新商品開発やマーケティングにおいて非常に高い成果を得ることができます。
会場調査なら、豊富な実績と充実した自社会場を持つ「株式会社マーケティング・リサーチ・サービス」へ
当社マーケティング・リサーチ・サービスは、創業65年以上の歴史と豊富なCLT実施実績を持つリサーチのスペシャリストです。専任のリサーチャーがマーケティング課題の整理から調査設計、実査、分析・レポーティングまで一気通貫で伴走いたします。
また、JR大塚駅から徒歩2分の立地に自社会場を保有しています。
- 約200㎡のアンケートスペースで100人規模の大規模調査に対応
- 陳列棚、冷蔵ショーケース、IH調理器など充実した資材を活用した味覚評価やパッケージテストが可能
- iPad端末の利用や、テスト直後に対象者へ直接インタビューを実施できる体制
調査発注側(クライアント様)が直接会場に来られない場合でも柔軟に対応可能です。会場調査の実施をご検討の際は、専門のノウハウと充実した設備を持つ当社へぜひお気軽にお問い合わせください。
(digmar 編集部)